網のバッグ
買い物をしていると、顔見知りに出会った。子供が幼稚園だったときにいっしょだったママさん。幼稚園はお迎えとバスで半々だったので、お迎え組のお母さんたちは基本、幼稚園の前で出会うことになるから、大体が顔見知りになる。
かなり長い間見ていない人ではあったが、ここは微笑んでこんにちは、と挨拶しておく。
彼女が持っていたバッグは、プラスチックの輪の持ち手に、ビニールひもを編んだ網のバッグだった。
ああ、こういう糸最近はやってるよね、前は見ない材料だったけど、手触りが子どもの透明のビニールなわとびみたいな糸で、金、銀なんかのメタリックカラーで、つやつやしていて、ぎゅっと押さえるとくっつく感じになる素材だ。
でも、この人は、確か幼稚園のバザーの時は工作系のグループにいた人だ。こういう手芸系のことをやる人だっけ?と一瞬思った。
「かわいいね、これ、編んだの?」
他に話題もない、適当に振ってみた。
彼女はとてもうれしそうに、そうなのよ、最近習いに行って編んだの、と言っていた。
おお、やっぱり手編みだったか。
これ、編むのに結構力要りそうだと思ってみてたのよ、というと、こういうタイプのバッグが、最近はやっていて、これを編み上げるまでの短期レッスンなどがある話をしてくれた。
へえ、いいわねえ、じゃあ、またねーっ。
…と話を切り上げて帰ってきた。
その日はお友達の家にお邪魔する話があったのだ。
…と、その人の家に行って、オパール毛糸のマフラーを編むときの、最初の方はゴム編みか、かのこ編みにして後は輪にあむんだけど、こう…みたいな解説をしていると、ふとソファの上に置いてあるバッグに目が行った。
さっき見たのと、同じバッグだ。
「これ、編んだの?」
というと、彼女は、一瞬、「むっ」っとなった。
違う違う、これはね、「本物」なのよ、と。
「???」
私の頭の上にクエスチョンマークが飛んでいるのが分かったのだろう、彼女は、このバッグは、なんちゃらというブランド(スパッと忘れた)のもので、百貨店ではちまんえんしたのだという。彼女はお洋服に合わせて、ゴールドと、シルバーと、黒いのをもっているのだそうだ。
えーーー。そっくりなのにーーー。私は、さっき会った知り合いがこれとそっくりのバッグを編んだというのを見てきたばっかりなのだ、と言い訳をした。
彼女は、バッグにはこういう金属の輪っかがついていて、その輪と、輪についている刻印で「本物」ということがわかるのだ、と解説してくれた。へーーー。
そうかあ、失礼なこといってごめんね、と謝っておいたが、まあ、彼女は私がブランドなんかには思いっきり疎いことをわかっている人だから安心だ。彼女は別にブランド「だから」もっているのではなく、好きなものを持っているのだ、というスタンスを通しているので、私がどんなバッグを持っていようと別にどうとも思わない人でもある。
8万円を3つか…。我が家では「そんなのを3つも買うぐらいなら、ゲーム機の3台でも買おうか」という家庭だからなあ。
こんなものがある、ということすら全く知らなかった。ちなみに正式名称は「ワイヤーバッグ」らしい。
コピー商品を売るのは不法だろうが、似たようなのを自力で作って使ってはいけません、というのはないだろうし、やっぱりすてきだと思う人が多かったから流行ったんだろうな。しかし、ここまで似た感じに出来るなら、やってみようと思う人が出るのもわかる。縫うのと違って編み物は欠点が目立ちにくいというのもあるし。革のカバンを素人が縫うのは無理だけど、これなら、確かに。
本物の証だというその金属の輪を見て、似たようなサイズのワッシャーでもくっつけておいたら、自分で編んだのでも、遠目には本物に見えるかもしれないなあ…という方向に私の興味が向いたことは、彼女には内緒にしておいた。
かなり長い間見ていない人ではあったが、ここは微笑んでこんにちは、と挨拶しておく。
彼女が持っていたバッグは、プラスチックの輪の持ち手に、ビニールひもを編んだ網のバッグだった。
ああ、こういう糸最近はやってるよね、前は見ない材料だったけど、手触りが子どもの透明のビニールなわとびみたいな糸で、金、銀なんかのメタリックカラーで、つやつやしていて、ぎゅっと押さえるとくっつく感じになる素材だ。
私が子供の頃はこういう素材のプールバッグが多くて、透明でプリントなんかしてあって、一冬押入れにしまっておくと、くっついちゃって、隣のカバンのプリントがくっついてはげたり、硬くなってカバンの口を開けるとき、バリバリっとはがす感じになるような…。折りたためる筆洗として売っていたのもこんな感じの厚手のビニールだった気がする。
でも、この人は、確か幼稚園のバザーの時は工作系のグループにいた人だ。こういう手芸系のことをやる人だっけ?と一瞬思った。
「かわいいね、これ、編んだの?」
他に話題もない、適当に振ってみた。
彼女はとてもうれしそうに、そうなのよ、最近習いに行って編んだの、と言っていた。
おお、やっぱり手編みだったか。
これ、編むのに結構力要りそうだと思ってみてたのよ、というと、こういうタイプのバッグが、最近はやっていて、これを編み上げるまでの短期レッスンなどがある話をしてくれた。
へえ、いいわねえ、じゃあ、またねーっ。
…と話を切り上げて帰ってきた。
その日はお友達の家にお邪魔する話があったのだ。
…と、その人の家に行って、オパール毛糸のマフラーを編むときの、最初の方はゴム編みか、かのこ編みにして後は輪にあむんだけど、こう…みたいな解説をしていると、ふとソファの上に置いてあるバッグに目が行った。
さっき見たのと、同じバッグだ。
「これ、編んだの?」
というと、彼女は、一瞬、「むっ」っとなった。
違う違う、これはね、「本物」なのよ、と。
「???」
私の頭の上にクエスチョンマークが飛んでいるのが分かったのだろう、彼女は、このバッグは、なんちゃらというブランド(スパッと忘れた)のもので、百貨店ではちまんえんしたのだという。彼女はお洋服に合わせて、ゴールドと、シルバーと、黒いのをもっているのだそうだ。
えーーー。そっくりなのにーーー。私は、さっき会った知り合いがこれとそっくりのバッグを編んだというのを見てきたばっかりなのだ、と言い訳をした。
彼女は、バッグにはこういう金属の輪っかがついていて、その輪と、輪についている刻印で「本物」ということがわかるのだ、と解説してくれた。へーーー。
そうかあ、失礼なこといってごめんね、と謝っておいたが、まあ、彼女は私がブランドなんかには思いっきり疎いことをわかっている人だから安心だ。彼女は別にブランド「だから」もっているのではなく、好きなものを持っているのだ、というスタンスを通しているので、私がどんなバッグを持っていようと別にどうとも思わない人でもある。
8万円を3つか…。我が家では「そんなのを3つも買うぐらいなら、ゲーム機の3台でも買おうか」という家庭だからなあ。
こんなものがある、ということすら全く知らなかった。ちなみに正式名称は「ワイヤーバッグ」らしい。
コピー商品を売るのは不法だろうが、似たようなのを自力で作って使ってはいけません、というのはないだろうし、やっぱりすてきだと思う人が多かったから流行ったんだろうな。しかし、ここまで似た感じに出来るなら、やってみようと思う人が出るのもわかる。縫うのと違って編み物は欠点が目立ちにくいというのもあるし。革のカバンを素人が縫うのは無理だけど、これなら、確かに。
本物の証だというその金属の輪を見て、似たようなサイズのワッシャーでもくっつけておいたら、自分で編んだのでも、遠目には本物に見えるかもしれないなあ…という方向に私の興味が向いたことは、彼女には内緒にしておいた。
コメント
wancoさんへ
ですよねー。作れるなら作っちゃう。だって、六万円とか八万円とか、出してられませんって。そんなお金出すなら、もっと違うものがたくさん買える…と思っちゃう人は多分ね、ブランドを買わないんですよね。
本革なら高いのは解るけど、合皮で高いのって納得いかないというレベルの人間ですので、タグがついてるかついてないかで、本物と区別できるって・・・カニもそうですよね。(イジワル)
私は、ブランドを買えるとしても、素材が良いとか貴重な物とかなら買うけど、自分で作れるなら作ります。
8万円のを3個って、気に入っておられるんですね、まぁ、本物を持っている人なら、偽物(とも言えないけど)を、お安く作って持ってる人を見ると、むっとする気持ちも解らんではないですね~