FC2ブログ

LuckyDuckyDiary

「さがしもの」角田光代

 息子の夏休みの読書感想文の課題図書を探したのは夏休みに入ってすぐ。リストの中でも短編集だったのがこれ。
 せっかくだからと思って私も読んだ。

 一瞬「えーっと、魔女の宅急便の作者?」と思ったのだが、その人は「角野(かどの)栄子さん」で、一文字しかあっていない。(自分でもちょっとひどいと思った)
 このひとは「かどたさん」ではなく、「かくたさん」と読むらしい。でも検索で「かどたみつよさん」で検索しても出たので、多分間違える人も多いのだろう。

 この本は「本をテーマにした短編集」。
 長編の物語というのは、大体、こういう世界で、こういう風になっていて、主人公はこういう人で、こういう背景があって…とか説明にあたる部分がある程度あってから物語に入って、事態が進行して物語が盛り上がり、そして終わるところまで全部が書いてあることが多い。

 でも、短編はこう、その一部だけを切り抜いた感じだと私は思っている。
 その切り取り方がうまい。そのはがき大の一枚をみただけで、切り取られなかった外側の部分とか、この物語を目の前に見ながら振り返ったとしたら見えたであろう景色が見えるような気がする。

 案内板だけ見て、「あ、これ体験したことある」と思わせておいて、そのつもりで見えた入り口から入っていったら、全然違う体験ができるアトラクションのような…かと思えば「ああ、こんなことあるよね…」と思わせておいてちょっとひねってあるとか、読書が好きで、本が家にたくさんある人には楽しめる本だと思う。
 自分の体験と似て、同じ絵から一部切り取ったにしろ、起点は同じで、全然違う部分を切り取ったような。似ているのは手につかめる端っこだけで、引っ張り出してみたら全然違う柄だった…みたいな感じ。

 ただ、息子の年齢だと微妙なのも多かった。
 まだ恋愛はしたことがないのもあるし、人生の過程でものの考え方が変わっていくということを体感していない年齢だからねえ。多分この本の中で一番年齢のレーティングが低いのが表題作「さがしもの」。主人公は冒頭では中学生だしぴったりともいう。
多分課題図書に選ばれたのはそれでだな。

 *外国へ行って、そこで日本語の古い本が出回っているのを見て日本語だというだけで読んでしまった。
 *付き合っていた人と別れるときに持ち物をわけた。
 *読んだ古本の中に、以前の持ち主の気配が濃く残っているのを見たことがある。(落書きとか、はさんであるものとか)
 *内容や題名があいまいな本を古本屋を歩いて探したことがある。
 *立て続けに不幸に見舞われたとき、「幸運のアイテム」とか「呪いのアイテム」があるのでは、と思ったことがある。
 *生まれて育った小さな町には、いつ行っても売る気があるのか?というような小さいお店があった。

…こういうことに思い当たることがある人には、いい読書体験が出来る本。
古本屋をめぐって本を探していた時代から、ネットで本を探せる時代までの変化も書いてあったので、多分ネットで本を探す時代しかしらない、電子書籍ネイティブと言える今の中学生よりも、絶版になったらどこにもないね、という時代を経験した人のほうがわかる話が多い。
 読ませる本だった。結局止められずに最後まで読み切った。
 やっぱり「なろう」小説とは違うな!ここしばらくそういうライトノベルしか読んでなかったからね…。ライトノベルもなろう系も面白いんだよね…面白いんだけど、文章の研ぎ澄まされ方が違うなあ。文章書くのがうまい、なんてそれを生業にしているプロの人には当たり前すぎなのだから、言うことではないのかもしれないけど…でもそう思った。
 
 野原に咲いている花の中から、「あ、これ知ってる」と思ったのがあったから引っ張って摘もうとしたら、地面に穴が開いて吸い込まれて、中で短編映画の脇役の猫になって、その世界を体験して物語を見守ってから帰ってくるみたいな本だった。
 
 面白かったのでもっと読もうと思って著作リストを見たら、どうも源氏物語の現代訳をなさったようだ。
 おおー知らなかった。読もう。人によって訳し方がいろいろだけれど、いつ読んでも面白いよね。
 まあ普段読んでるのはキンドルに入っている与謝野晶子訳(だって安いんだもの…全著作で200円)だけど。

 多分人気の作家さんなので図書館で借りるのは難しいかもしれないが、電子版になっているのもあるようだし。
 翻訳物がずっと好きで、日本の作家さんで特に気を付けて読むことにしている人はあまりいなかったので今度チェックしよう。
 
 この人の長編はまだ読んだことがないので、合うかどうかはわからないけれど、もし合わなかったら短編集だけでも読もうと思う本だった。
 

« 本の思い出|Top|無関係です。 »

コメント

あ、この作家さん、実は好きなんです。
私は「対岸の彼女」を読んで、そこからはまって次々と。
好きなのもあればよく分からないのもあるけど、中年の女性は自分のことのような気持になってくる…ような。
エッセイも好きだし、作品ももちろん好きです。
読んで~。

momonokehimeさんへ

なるほど、ターゲット層は中年女性なんですね。何冊か読んでみます。
 小説だけじゃなくて、エッセイもあるのなら、エッセイがいいかな。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

Top

HOME

    思ったことを何でも書くゲーマーブログ。リンクはご自由にどうぞ。

    まこ

    Author:まこ
    どこをクリックしても一銭にもならない、ただの主婦の日記帳です。
    ゲーマーで、本好きで、クラフト好きです。

    08 | 2021/09 | 10
    - - - 1 2 3 4
    5 6 7 8 9 10 11
    12 13 14 15 16 17 18
    19 20 21 22 23 24 25
    26 27 28 29 30 - -

    名前:
    メール:
    件名:
    本文:

    この人とブロともになる