トランスジェンダーとスーツ
生まれたときの体の性別と、自覚する性別が違う人が、気兼ねなく自分にあったスーツを選べる【みんなのスーツ】という取り組みがある、という話をネットで読んだ。いいことだと思う。
実は、私はこういう話があるのではないか、と真剣な顔で聞かれたことがある。それ以来、なんとなく、自分と違う性別に典型的な服装をしたい人には勝手に親しみを覚えている。
私は、服を自分で選ぶようになった中学生の頃から、スカートをほとんどはかなくなった。
けれども、学校の制服はスカートでもどうしようもないから着たし、自分の体の性別と中身の性別が女性であることに違和感もなかったし、お付き合いすることになった人も、結婚する相手も男性だったので、カテゴリ的には私はマイノリティではない。
当時、私はまず、スカートが動きにくいというのが嫌いだった。キャンプとかハイキングとかになると女性も大抵、「動きやすい格好」=パンツを履くということを考えてもわかるだろう。つまりスカートというのはひっかかりやすかったり、うっかりしゃがむと下着が見えたり…というような不便な作りをしている。
そして18ぐらいからだろうか。デニムにTシャツみたいな格好している時は寄っても来ないのに、スカート履いて化粧した時だけ猫なで声で寄ってくる人がいるのに気が付いた。送ってあげようか、ご飯を食べに行かないか、ケーキは?遊びに行こうよ…。
ものすごく気味が悪かった。この人たちには、一体何が見えているんだろう、と。
服一枚で中身が変わるわけもなし、いつも仲良くしてくれる友達はいい。たとえ「馬子にも衣裳だなあ(笑)」なんて言われても、「今日はどうした、まつげあるじゃん」などとからかわれようと気にならなかった。
私がスカートが嫌いだったのはつまり、自分の性別との違和感ではなく、社会的役割のせいだった。
「女性らしく装う」のが、なんとなく「女を武器にいい思いをしようとしている」ようで。
人の態度が服装で変わる。「人は見た目が9割」なんていう本があることを思えば、見た目で人の態度が変わることにそんなに目くじらをたててはいけないのだろうが、当時の私にはその変わりようが恐ろしかった。
だから、私がお付き合いをした人はみんな、「別に、服は気にしない」というひとばっかりだった。
演奏会に男性は白シャツに黒いズボン、女性は白いシャツまたはブラウスに黒のロングスカート…というのは結構ありがちなのだが、ズボンをはいて出てはだめか…と頼みに行った私に、OKを出したあと、更衣室はみんなと同じでいいのか、と真剣な顔をして聞いてくれた人がいた。
もし、女性の中で着替えるのが嫌なら控室が遠くなるけど1つ、別に部屋をとれるように算段するけど、と。
実は同じバンドに、私と逆パターンの…つまり体は男性だけれども、女性の服を着るのがいい、という人がいたからだろう、そういう問題があるのをその役員さんは知っていたのだと思う。
もうひとりの、その男性は、セーラー服が着たい、と熱望する高校1年生だった。かなり線が細い男の子だったので、私の実家に残っていたセーラー服をあげたらすごーくうれしそうだったのを覚えている。それから2年後ぐらいにもう一度会ったときには、肩幅が増え、背が伸びて女物が似合わなくなった、という話をして残念そうだった。そして私に、「せっかく女の子なんだから、かわいい服を着たらいいのにー!」と。当時もまだ、パンツ一辺倒だった私は苦笑するしかなかった。
制服に、スカートとパンツのどちらでも選べるオプションがあったら…。
ビジネススーツも、どちらでも選べれば…。
きっと、彼は喜んだだろうなあ。
真冬だったら、防寒のために制服がパンツでもいいかもしれないな、と私も思ったと思う。
なんせ、スカートの下にジャージを履くというのまであったからね(ハニワと呼ばれていて、見つかったら怒られたけど)。
ともかく選択肢があるのはいいことだ。
こういうのがもっとあればなあ…。クーラーがガンガンにかかったオフィスで、事務員の制服がかなり短いスカートだった時代もあった私としては、パンツのビジネススーツがフォーマルが必要な時に着られるというのは、すばらしい。
スカートをはきたい人は誰でもスカートがはけて、ズボンをはきたい人は誰でもズボンをはけるのが一番いいと思うんだけど。
そういう時代になればいいと思う。
実は、私はこういう話があるのではないか、と真剣な顔で聞かれたことがある。それ以来、なんとなく、自分と違う性別に典型的な服装をしたい人には勝手に親しみを覚えている。
私は、服を自分で選ぶようになった中学生の頃から、スカートをほとんどはかなくなった。
けれども、学校の制服はスカートでもどうしようもないから着たし、自分の体の性別と中身の性別が女性であることに違和感もなかったし、お付き合いすることになった人も、結婚する相手も男性だったので、カテゴリ的には私はマイノリティではない。
当時、私はまず、スカートが動きにくいというのが嫌いだった。キャンプとかハイキングとかになると女性も大抵、「動きやすい格好」=パンツを履くということを考えてもわかるだろう。つまりスカートというのはひっかかりやすかったり、うっかりしゃがむと下着が見えたり…というような不便な作りをしている。
そして18ぐらいからだろうか。デニムにTシャツみたいな格好している時は寄っても来ないのに、スカート履いて化粧した時だけ猫なで声で寄ってくる人がいるのに気が付いた。送ってあげようか、ご飯を食べに行かないか、ケーキは?遊びに行こうよ…。
ものすごく気味が悪かった。この人たちには、一体何が見えているんだろう、と。
服一枚で中身が変わるわけもなし、いつも仲良くしてくれる友達はいい。たとえ「馬子にも衣裳だなあ(笑)」なんて言われても、「今日はどうした、まつげあるじゃん」などとからかわれようと気にならなかった。
私がスカートが嫌いだったのはつまり、自分の性別との違和感ではなく、社会的役割のせいだった。
「女性らしく装う」のが、なんとなく「女を武器にいい思いをしようとしている」ようで。
人の態度が服装で変わる。「人は見た目が9割」なんていう本があることを思えば、見た目で人の態度が変わることにそんなに目くじらをたててはいけないのだろうが、当時の私にはその変わりようが恐ろしかった。
だから、私がお付き合いをした人はみんな、「別に、服は気にしない」というひとばっかりだった。
演奏会に男性は白シャツに黒いズボン、女性は白いシャツまたはブラウスに黒のロングスカート…というのは結構ありがちなのだが、ズボンをはいて出てはだめか…と頼みに行った私に、OKを出したあと、更衣室はみんなと同じでいいのか、と真剣な顔をして聞いてくれた人がいた。
もし、女性の中で着替えるのが嫌なら控室が遠くなるけど1つ、別に部屋をとれるように算段するけど、と。
実は同じバンドに、私と逆パターンの…つまり体は男性だけれども、女性の服を着るのがいい、という人がいたからだろう、そういう問題があるのをその役員さんは知っていたのだと思う。
もうひとりの、その男性は、セーラー服が着たい、と熱望する高校1年生だった。かなり線が細い男の子だったので、私の実家に残っていたセーラー服をあげたらすごーくうれしそうだったのを覚えている。それから2年後ぐらいにもう一度会ったときには、肩幅が増え、背が伸びて女物が似合わなくなった、という話をして残念そうだった。そして私に、「せっかく女の子なんだから、かわいい服を着たらいいのにー!」と。当時もまだ、パンツ一辺倒だった私は苦笑するしかなかった。
制服に、スカートとパンツのどちらでも選べるオプションがあったら…。
ビジネススーツも、どちらでも選べれば…。
きっと、彼は喜んだだろうなあ。
真冬だったら、防寒のために制服がパンツでもいいかもしれないな、と私も思ったと思う。
なんせ、スカートの下にジャージを履くというのまであったからね(ハニワと呼ばれていて、見つかったら怒られたけど)。
ともかく選択肢があるのはいいことだ。
こういうのがもっとあればなあ…。クーラーがガンガンにかかったオフィスで、事務員の制服がかなり短いスカートだった時代もあった私としては、パンツのビジネススーツがフォーマルが必要な時に着られるというのは、すばらしい。
スカートをはきたい人は誰でもスカートがはけて、ズボンをはきたい人は誰でもズボンをはけるのが一番いいと思うんだけど。
そういう時代になればいいと思う。
コメント
こんばんは
よしおさんへ
もちろん、オーダーメイドにすれば今まででも出来たんでしょうけど、それがある程度既製品で出来るようになったのがいいですよね。
スーツが必要な職場になったら、この問題は出てきそうだね。