マザーグースの文庫本
いくつぐらいの時だっただろう、講談社文庫のマザーグースの本を買ったのは。
表紙を見てもわかる通り、絵がかわいい。4冊あったので、1冊ずつ時間をかけて買った。楽譜と元の英語の詩と解説が本の後ろの方にのっているが、最初の方はテーマ別に、日本語訳だけが載っているので、絵本みたいな文字の量。
中のイラストは白黒の線画なのだけれど、暇にあかして色鉛筆で彩色して遊んだ覚えがある。
色鉛筆じゃなくてクーピーだったような気がするから、小学生だったかも?というぐらい昔だ。いや、それとも中学生だったのかなあ。時々ちまちま塗って、詩を繰り返し読んだ。英米文学…とまではいかないが、アメリカヨーロッパの翻訳の物語が好きだったので、文化として、みんなが知っている常識としてこのあたりは押さえておくべき…というのはなんとなくわかっていた。
大好きな「秘密の花園」の主人公のメアリは「つむじまがりのメアリ―」なんてからかわれるのだが、それがこのマザーグースの中の、「Mary Contrary」だとか、「大草原の小さな家」のシリーズの冬の描写で窓ガラスに美しい模様を書くのは「霜のジャック」だが、それもこの中の「Jack Frost」だとか、ちょっぴり出てくるときに「ああ、あれか」とわかるかどうか…というのは結構面白いことだった。
本の注を頼りに、マザーグースの歌のハードカバー版にたどり着き、そのあと大型書店でこの文庫版を発見した。
アメリカにいたころ、大型台風が来た時、庭の木が倒れてドアが開かなくなったらと思って斧を買ったという、本人にもなぜ買ったのかわからないという笑い話を友達に聞いたときは、リジー・ボーデンか!とツッコめたのはひとえにこの本のおかげであろう。
(注:リジー・ボーデンとは、斧で家族をめった打ちにして殺した実在らしいという人物。詩になっている)
からかい歌やはやし言葉、言いまわしや、ことわざ。日本でいうと「どんぶらこ」が桃の流れる音であるとか、「犬も歩けば棒にあたる」とか、「まんじゅうこわい」とか、または「布団がふっとんだ」みたいなことを知っているかどうかだと思えば大体わかると思う。
本職が英米文学の研究という人ではなく、詩人の谷川俊太郎さんが訳しているのでリズムよく雰囲気楽しく、そして昔はそれほど読めなかったけど、今英語版も文章で読むと、「確かにこうにしかならない」よねという訳だと思う。うまいなあ。この際だからと思って4冊いっぺんに手に入れた。
クリスマスの12日の歌は、息子が小さいころにはこのシーズンよく流した。久しぶりにその歌を読んだ後にちょっと歌っていたら、息子が乱入。おおぅ、まだ歌えるのか。…と思ったら半分ぐらいは正規の詩のほうじゃなくてセサミストリートのパロディの方だった。混ざる混ざる!!
最後がクッキーなのはクッキーモンスターが歌っていたからで、本物の方は梨の木にとまるヤマウズラなんだけど!ほかにも、息子が小さかったときに英語の歌としてかけた曲がずいぶんあった。読んだ時期と、歌を聞いた時期がずれているのでなんとなくつながっていない。
「これはその おうこくのかぎ」
日本語の方を読むと詩が頭に響く。この詩はクリスマスの12日と同じで1行ずつ増えていく詩で、好きだったなあ。今でも覚えているかな…と思ってやってみたら記憶していた。今やったら、そんなことできそうな感じはしないので、子どもの時の記憶力、おそるべし。
日本ではやらないけど、英語圏、フランス語圏では詩の暗唱というのは国語の時間の課題としてやるらしいんだよね。ちょっとあこがれたものだった。英語の詩なんか読めもしないころだったけどさ!あ、でも日本でも古典の最初の方の暗唱はやるなあ。こないだ息子が「ぎおんしょーじゃのかねのこえ、しょぎょうむじょうのーぅ」とがんばっていた。「おかーさん、しょぎょうむじょうってなに?」とかなってたけど。
わけがわからなくても暗唱するというのは、大人になってから考えると割と面白くていいかもしれない。