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旺文社文庫 「秘密の花園」 岡上鈴江訳

バーネット作、「秘密の花園」は、昔から大好きな本だった。
 
 冬から春になって季節が変わるその時の美しさ、ひねくれて縮こまっていた子供たちが、のびやかに育っていくその様子と、植物が芽を吹き、育ち、花を咲かせていくその鮮やかな様子が一緒に書かれているなんていうようなことが言葉に出来ないぐらいの年齢の頃から大好きだった。

 最初は抄訳から…かなり字の少ないものを読んだ記憶がある。こういう感じのは、幼稚園ぐらいから、低学年ぐらいの時に愛読したものだ。もう内容はあんまり思い出せないのは、そのあと違う版を何度も読んだからだと思う。名作文学全集みたいな本に入っているのもあった覚えがあるし、ハードカバーもあれば、少年用の文庫もあった。


そして、小学校の高学年から中学生ぐらいの頃に、自分で家に置いておける本が欲しい、と思ったとき、手に入れたのがこの版だった。

 ほかの文庫にもあったのかもしれないが、読んだ訳が気に入らず、しょうがないので、なけなしの小遣いはたいて電車に乗り、繁華街の特大の本屋を回って見つけた文庫本がこれだった。同じ作者の小公子、小公女は人気がもっとあったのだろう、何種類かあったが、版のサイズが文庫版の秘密の花園は少なかったというのもある。

 数年前に読みたくなって、新潮文庫の瀧口直太朗さんの版を買って読んでみたのだが、なんとなくなじみがなくて再読する気分になれず、確か断捨離したっけ…いや、まだ本棚にあるかな?
 今回はとりあえず一番買いやすい電子書籍は…というので、角川文庫版の羽田 詩津子さん訳をゲットしてみた。
 さらっと読めてわかりやすい訳。まあ…これでもいいかなあ。と思うが繰り返し読むとやはり慣れた訳が恋しい。
  kindleUnlimitedに入っていた光文社古典文庫の土屋京子さん訳もかなりよかった。どうしても電子書籍がいいならこれかな。

 こんな調子で読んでいたらお小遣いがいくらあっても足りない。もう、結局当時の本を手に入れて、気分的に「気が済む」方がいい感じがしてきたので、旺文社文庫版のことを調べてみた。旺文社文庫はレーベルごと絶版。グーテンベルク21という会社の電子書籍に出ているのが多いようだが、この秘密の花園に限っては、アマゾンでは買えなくて、グーグルブックでしか買えないという謎の商品になっている。グーグルブックのクーポンがあったので、100円ぐらい出して買ってみたら、PDF版で、字が大きくしたり小さくしたり…というのは無理だった。ありゃ…。
 文庫本そのものを手に入れようか。そう思ってネットで「あんまりきれいな本ではないので、読めればいいという人だけ買ってください」というような注釈のあるものを300円ぐらいで手に入れた。
 着いたら、なんのことはない、こんなのなら私の本棚にいくらでもあった…というか、十分きれいな方だと思う。私の中学生当時の本というのはリサイクルショップの床の段ボールの中から30円や50円でサルベージされた本ばっかりだったからなあ。

 でもこの表紙、あんまり覚えがない。この本は新品で本屋さんから買ったにもかかわらず。いや、でもこの表紙、多分私カバー捨てたんじゃないかなあ…。あんまり好きな感じじゃない。それと、これが物語の中の人物だとしたら、これはメアリー?頭にお花飾ってるしね?ジッコンってことはないだろう…。いや、でももしかしたらコリン?頭にお花で?
 どれにしてもかわいくない。多分この表紙を覚えていないのは、私がこのカバーをさっさと捨てて、自分で作成したカバーをかけたからだと思う。もともと私の当時の文学全集蔵書はカバーなんかとっくにない文庫本ばっかりだったから問題なかった。

 通読してみると、やっぱり読み慣れている訳だなあ…としみじみ。そして、この2冊のことをブログに書こうと思って画像を探した私に今わかった驚きの事実。この2冊の翻訳者が同じということ。なるほど…この訳が気に入ったのには理由があったんだな、気づいてなかったけど。当時の私には、外国文学の訳者を覚えておくというような癖はなかった。題名さえ見ずに本の中身だけ気にしていたことの方が多かった。

 わかってびっくりだねえ。
 とはいえ、文庫本の初版は1975年。「耳が聞こえない」「背中にこぶがある」「目が見えない」。そういうことを描写するのに今だと使えない言葉がどしどし出てくる。時代だなあ…。この訳の再販は無理だろうな。少なくとも改訳だろう。

 というわけで、自分的ベスト訳はやっぱりこれ…なんだけど、今から買う人には、光文社古典文庫の土屋京子さん訳がおすすめに決定。この本を読むのは実は秋より、春先がおすすめ。
 
 

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    まこ

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