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「ばらいろ島」 シャルル・ヴィルドラック作

 ネットで、物語の一節を頼りに、なんていう題名だったかねえ…と思いながら検索をしていたら、「ばらいろ島」という児童向けの本を探している人がいた。

 うっすら覚えがあるような、ないような…。
 古くて、字が小さい、二段組の本だった気がする。
 ものすごくうろ覚えで、全然違う本かもしれないとは思ったが、これは私も調べてみよう。そう思って、ネットで検索開始した。

 活字が二段組ということは、大体「文学全集」が多い。何全集かはともかく、そういうそろった本になっていた本だろう…というわけで、「ばらいろ島 全集」で検索を書けたら、いきなりヒット。
 「少年少女文学全集」にその物語が入った本がある。
 古い講談社のもので、フランス編(5)、29巻に収録らしい。

 講談社のこの少年少女文学全集は、昭和36年出版のもので、結構人気があったらしくて、オークションなんかでもかなり出る本なので私も見たことがあるし、ちょっと前に「町からきた少女」を探していて、同じこの全集の本の「ロシア編」を借りたばっかりだった。これは図書館にあるかもしれない。

 図書館の資料検索で見事、出てきた。私が住んでいる街の図書館には、この全集(全50冊)のうち、半分ぐらいはあるっぽいので、運がよかった。背表紙の題名は「青い鳥」「ばらいろ島」「首なしうま」の3つ。
 実際の収録作品はこうなっていた。

講談社少年少女世界文学全集第29巻 フランス編第5巻
「青い鳥」 モーリス・メーテルリンク作 若月紫蘭 桜田佐 訳
「ばらいろ島」 シャルル・ヴィルドラック作 宮崎嶺雄訳 
「トロットの妹」 アンドレ・リシュタンベルジェ作 那須辰造訳
「マリアさまとかるわざ師」 アナトール・フランス作 小林正訳
「かわいい子どもたち」 アナトール・フランス作 小林正訳
「首なしうま」 ポール・ベルナ作 那須辰造訳

 「青い鳥」は、チルチルとミチルの物語で、絵本とか、もっと子供向けにはしょったのとかがあって読んだことがある人は多いと思う。小学生の頃に、これをマンガにしたのまで読んだ記憶があるぐらいだ。
 「トロットの妹」は全く記憶なし。初めて読んだも同然だった。赤ちゃんが生まれて、お兄ちゃんになったトロットの心情を書く。と言っても、トロットもまだ幼児なので、それほど込み入った話でもなかった。
 「マリアさまとかるわざ師」は短いお話だった。これはどこかの絵本で見たことがある。多分教会か、クリスチャン系の幼稚園にあるタイプのお話だった。
 「かわいい子どもたち」は、岩波文庫の赤に三好達治訳が「少年少女」という題名で入っているらしい。多分、読んだことがある。特に1つ目の「ファンションと小鳥たち」は覚えがあったけど、この本じゃなくて岩波のほうで読んだのかもしれない。この本に載っているのは全部じゃなくて「ファンション」「学校」「勇気」「カトリーヌのお客さま」「野あそび」「大きな子どもたちの失敗」の6つ。
 子どもたちの日常をひとこま切り抜いたような短編でかわいいし、イラストとかを描く人ならこういう話を見ると創作意欲がわくかもしれないけど、それほど楽しいとか面白いとかそういう話ではなかった。淡々としている感じ。
 
 「首なしうま」は事件に巻き込まれて、子どもたちのグループが犯罪の真相究明にひと役買う、大活躍な話で、結構面白かったけど、これにも全然覚えがなかった。これだけ面白ければ覚えていてもよさそうなんだけど。

 そして今回のメイン、「ばらいろ島」。
 こういう名作集に入っている本は、たとえば昭和30年っていうとえーっと何年だ1955年?に訳されたとしたら、2、30年に1回ぐらいはまた訳されていることが多い。つまり1980年代ぐらいとかにはもう一回日の目を見たりするパターンが多い。なんなら2000年ぐらいにもう一回出ていても不思議じゃない。
 有名な「青い鳥」は言うまでもなく何度も訳されているし、「首なしうま」も調べてみると80年代に偕成社から出ているようだ。「トロットの妹」は「かわいいトロット」が1985年、「私のかわいいトロット」は2005年にそれぞれ出版。これは多分シリーズ本?作者名が同じだから、多分そう。
 「ばらいろ島」は関連本ともに全然情報が出てこない。

 図書館で借りた本を読んでみた。主人公はチフェルナン君。
 学校の先生がひどい先生で、学校が楽しくないところからスタート。お母さんは病気がちで、妹のお世話も大変だ。
 ある日突然「ばらいろ島」に招待されて、目が覚めたら飛行機の中!
 
 この島が、男の子ばっかり30人が住む楽園状態。寄宿学校のように宿泊し、遊んで勉強して、おいしいものを思うさま食べ、貸出式とはいえ豪華おもちゃに、海で遊べるし、ミニ機関車にレーストラックに、自分専用の小型のモーターボートまで貸してもらえて、南の国なので実ったオレンジもぎ放題、そしてお金の心配なんかしなくていい、必要なものは服からなにから、欲しいものは言ったらそろえてもらえるという、夢のような環境。

 大体、こういう感じのお話というのはないでもない。夢の国に行くとか別世界に行って楽しく暮らすとか、冒険するとか、そういう話ならうんといっぱいある。でもこれは「子供に楽しい思いをさせるのが好きな人が」「パリに住む普通の男の子であるチフェルナンに目を留め」「お父さんとお母さんに許可を取って」島に連れていく話なのが、ちょっと珍しい。

 この手の夢のような生活をする物語が夢落ちで終わることとか、「本当にあったことなのか、はっきりしない」ような終わり方になったり、「経験してみないとわからないことで、今でも仲間同士で本当にあったことだと思い出を話しあうが、それを聞き書きした」というような感じになっているパターンが多いので、例外的といえるだろう。両親に許可を取って…とか、そのあたりだけ実写版で、残りが割と何でもありのアニメの世界みたいなズレを感じる。
 特にこの本にはちょっと現実だったら、生々しいな…と思う記述があった。

 以下青文字は引用、その下にネタバレあり。

ヴァンサンさんは、じぶんがかわいく思って、ばらいろ島にあつめて、素敵な生活をさせてやっている子どもたちが、みんな、だんだんにじぶんのほんとうの子どものようになってくれることをゆめみていたのでした。たいていは家族のないこどもたちか、親に愛されていない子どもたちです。そういう子どもたちの心をつかんでしまうことは、ヴァンサンさんにとってもやさしいことでした。
 ところが、そうでない子どもたちにたいしても、なるべくじぶんたちのうちや、これまでの生活をわすれさせるように、ヴァンサンさんはしらずしらずつとめていたのです。


 キャー。これはこわい。主人公のチフェルナン君は、おうちのことを大変気にして、体の弱いお母さんがちゃんと手伝ってもらえているだろうか、とか、こんなおいしいものを小さい妹に分けてあげたいとか、そういうことをずっと思い続けているので、そこのところがヴァンサンさんには気に入らないと、そういう話だった。

 途中で絶対お母さんに会うんだ!と決心したチフェルナン君は遭難しかかるのだけれど、結局チフェルナン君を幸せにしてあげたかったヴァンサンさんは、おうちの人も島に呼んであげて、夏休みを一緒に過ごせるようになったのでした、というところまででこのお話は終わる。
 
 多分、私が子どもで、この本を何気なく読んだのだったら、ばらいろ島が女の子も受け付けてくれるのなら行ってみたいと思っただろう。青で引用した場所も、別に気にせず読み飛ばしたに違いないと思う。楽しいワンダーランド、子どもの幸せはここにあり。島全体が素敵な遊び場と宿泊用の寮になっているのだもの、楽しそうだよね、で終わったと思う。

 チフェルナン君は親御さんを一か月島に呼んでもらえたし、それから卒業するまでもっと楽しい思いをして、何年か滞在したのかもしれないね、と思わせるラストではあるのだけれど、男の子ばっかりを30人、「気に入った子だけを集めて」簡単に誰も踏み込めない私有地の遠くの島に何年も、滞在させるのってどうなのよ。一番小さい子は5歳、チフェルナンは年少のほうで9歳、「もう大きくなったので島を出てしまった」という前の住人がいることからも、ある程度年齢が行ったら卒業で、書いてある感じだと年長の子たちでも15歳ぐらいの「遊びが楽しいお年頃」まで。
 やさしく面倒を見ている篤志家と見えなくもないが、今、実際にいたら絶対怖い。

 子どもが読んだら何が問題なのかわからないけど、大人が読んだら…というこの危うさが、多分このお話が時代に合うように訳されなおして子ども用の読み物として出版されない原因なのじゃないかなあ。

 とはいえ、島の記述は大変楽し気で、その点では魅力のある本だと思う。これを読んで、「僕の理想の学校」とか「もし島が1つ自分のものになったら」とか、「お金がいっぱいあって、好きなことに使えるとしたら」とかそういう楽しい夢を見た子どもたちも多かっただろう。

 あとがきにはこの続編「ばらいろ島のこどもたち」もあると書いてあった。wikipediaの作者の項には「ばらいろ島」はあっても、続編は載っていなかったから、全然わからなかった。
 ネットで調べると東京創元社から出ている「世界少年少女文学全集」の19巻に「デブの国とノッポの国」「なんでも自由に出来る国」と並んで「ばらいろ島のこどもたち」が収録されているらしい。こっちも探すか…。1961年出版らしい。古いな。
 「デブの国とノッポの国」は多分、この物語だけの本を読んだことがある。

 チフェルナン君がどうなったか、わかるといいんだけど。
 今検索したら、私が住んでいる街の図書館にはなかった。
*************
ここまで書いてから、続編のほうが
「少年少女新世界文学全集21 フランス現代編 シミトラの孤児 / ばらいろ島の少年たち / グリシュカとクマ」
という本になっていることが判明。

 これが、結構簡単に買えるんだな…。1000円から1300円ぐらいで、古書店のサイトで数件ヒットするし、各種オークションにも出ている。
 どうするかなあ。「ばらいろ島」のほうが手に入れづらいので、まさか続編のほうがたくさんヒットするとは思わなかった。

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    まこ

    Author:まこ
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