音楽会
小学校の音楽会の話。
親御さんにしかヒットしない音楽会だが、運動会とはまた違う感動がある行事だ。友達はSNSに「最推しの演奏会、いや、娘の音楽会」なんて書いていたぐらいで、結構楽しみにしている親も多い。
一番最初は全員で歌う「はじめようコンサート」(作詞作曲石井了)これは親も歌っていいので、つい歌う。なんせ毎年スタートはこれなので、数年行けば覚えてしまう。
出演順は学年順じゃなく、もろもろの事情に通じた3年生がトップ。笛を使い始めたばかりの学年で、「ソラシド」の4音しかない曲を演奏して、歌を1曲。歌はストーリー性のあるものを斉唱、そろそろ歌に静かに歌う場所と元気に歌う場所があることを理解させる感じだろうか。
次は出番が待ちきれない1年生。いきなり出だしの声が甲高く、幼児っぽさがまだ残るのがなんともかわいい。この子たちには全員で声を揃えて楽しく歌うことを指導しているんだろうなあ、という感じ。2曲歌って、2曲目の最後で手をあげて、「ヤ―!」と元気に叫べば大拍手がもらえる。
次は1年生よりは大きいので負けられない、2年生。ピアニカの合奏と、歌で、歌は元気よく、ピアニカは間違えないように、先生の指揮を見る訓練もしたのだろう、という感じで、一生懸命なのがなんともかわいい。足を踏み鳴らしたり、右をむいたり左をむいたりするような身振りも入れた熱演。
ここで休憩をはさんで次は4年生。
さすがに高学年にはいっただけのことはあり、笛とピアニカ、歌のパートにわかれた合奏はなかなか見事。ピアニカはほとんどが女の子、笛は男の子で、どっちも苦手な子が歌に回ったんだな、という感じの編成なのがかわいい。A-B-A形式の曲を教えて、盛り上がりと締めくくりの差をつけましょう、と教えている感じ。合唱は途中部分が二部合唱に別れていて、うまくハーモニーを出すことに成功していた。舞台上での態度もソワソワしている子が減って、ちゃんとしている子ばっかりになる。
5年生。このあたりからいきなり完成度が上がる感じ。歌は二部合唱で、強弱と緩急をつけて指揮が「ただの飾り」じゃなく、見ながら歌えるようになっている。合奏は笛、ピアニカとマリンバ、グロッケンや、シンバル、タンブリンの打楽器などが入って「器楽」になる。曲もクラシックの編曲版になったり、確かディズニーの曲なんかを演奏している年もあった。息子は5年生の時はピアニカを担当していたが、縦に構えて演奏するし、フレーズが結構細かく早かった。パートを決めるときには「ピアノを習っている人はなるべくピアニカ、アコーディオン、電子ピアノをやってください」と言われたとか。時々、ものすごくピアノがうまい子がリードに入ることがあって、その時は学校のグランドピアノでガンガン弾いている年もあった。
次はなんと、先生の曲が1曲。普段から忙しいのに、こんなものまで…。お疲れ様でございます。J-POPだった。
そして器楽クラブの演奏。4、5、6年生の器楽クラブのメンバーが並ぶ。さすがに難易度が高めで、完成度も高い。がんばっているなあ……。曲はクラシックだった。しかし全員女子!大体男女半々の小学校でこの偏りぶりはすごい。
この「器楽」の編成ってこの小学校の音楽にしかないよね。アコーディオン、グロッケン、マリンバ、それと名前は知らないけれどもすごい低音のでる電子オルガンみたいな楽器と電子ピアノというか、キーボード、笛、ピアニカ、小太鼓大太鼓タンブリンカスタネット、そしてトライアングル。
そして6年生。
6年生は器楽が2曲。卒業生を送る会でも同じ曲を演奏するそうで、運動会の練習がおわったぐらいからずっと練習しているので案外それっぽい仕上がりに。映画の曲と、クラシックの2曲。あんまり詳細を教えてくれなかったので当日まで全くわからなかったが、1曲目はピアニカを縦に構えていて、2曲目は、なんとキーボードを弾いていた。キーボードは数台あるのだが、前の方に設置される。マリンバやグロッケンと並んで目立つパートでいうなれば花形。うちの息子のぞいて全員女子だというのに一人だけ男子。そりゃピアノは習わせてるけどね!大体女子は今息子がやっているようなのを小学校2、3年で通過するそうだからなあ。腕に差がありまくり。最近のピアノ女子は6年生で、ショパンだのベートーベンだのをばりばり弾くお子さんだって多いからね。
大丈夫なのかと思ったが、無事弾けたようだった、よかった。まさかこんなに目立つパートにいるとはねえ…という感じ。
最後は観覧しに来た親御さんも含めて「ふるさと」合唱。これも開会の歌、はじめようコンサートと同じで毎年同じなので歌う。
多分両親と祖父母が見に来ることが多いので知名度が高いということでこれなんだろうね。
ついマジメに歌ってしまう。その場で解散、終了となった。
*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…
こういうのを見ると、アメリカで息子がやった「選択音楽」の授業と、学期末クリスマスコンサートを思い出す。
完成度が全然違うんだよね。美術と音楽、それも器楽を選択する時点でやる気はあるのだろうけれども(楽器は自分でレンタルして家で練習して親がサインする)、なんせ初めてで、音楽系の習い事があんまりポピュラーではないのも手伝って、夏から冬まで練習しても、最後まで止まらず演奏できてよかったねぐらいの出来で、歌も斉唱で元気に歌えたね、とほめるしかないぐらい。
たった1回、1年きりでは、ここまでが限度か……ということがよくわかる演奏だった。
いくら1年に1度とはいえ、難易度を徐々に上げながら毎年合唱や、合奏をやらせることで少しずつ腕が上がるということがよーくわかる小学校の音楽会を見ると、ちょっとでもやらせておくことには意味があると思う。音楽の素養をつけること、クラシックにしろ、オペラや映画音楽にしろちょっとでも耳に覚えのある曲を増やし、他の人の演奏を聞いて楽しむことが出来る下地を作る。そういう意味で公立の学校で全員に少ない授業時間で出来る範囲でとなると、このあたりで最良だと思う。
私が小学校の音楽会を全く覚えていないことを考えると、息子も多分大人になったら忘れてしまうだろう。でも…今は。
本当にみんな、かわいかったなあ。
来年、全く関係のない小学校の音楽会を見に行っても、「はじめようコンサート」を歌ったら、なんだか泣けてしまうかもしれない。
親御さんにしかヒットしない音楽会だが、運動会とはまた違う感動がある行事だ。友達はSNSに「最推しの演奏会、いや、娘の音楽会」なんて書いていたぐらいで、結構楽しみにしている親も多い。
一番最初は全員で歌う「はじめようコンサート」(作詞作曲石井了)これは親も歌っていいので、つい歌う。なんせ毎年スタートはこれなので、数年行けば覚えてしまう。
出演順は学年順じゃなく、もろもろの事情に通じた3年生がトップ。笛を使い始めたばかりの学年で、「ソラシド」の4音しかない曲を演奏して、歌を1曲。歌はストーリー性のあるものを斉唱、そろそろ歌に静かに歌う場所と元気に歌う場所があることを理解させる感じだろうか。
次は出番が待ちきれない1年生。いきなり出だしの声が甲高く、幼児っぽさがまだ残るのがなんともかわいい。この子たちには全員で声を揃えて楽しく歌うことを指導しているんだろうなあ、という感じ。2曲歌って、2曲目の最後で手をあげて、「ヤ―!」と元気に叫べば大拍手がもらえる。
次は1年生よりは大きいので負けられない、2年生。ピアニカの合奏と、歌で、歌は元気よく、ピアニカは間違えないように、先生の指揮を見る訓練もしたのだろう、という感じで、一生懸命なのがなんともかわいい。足を踏み鳴らしたり、右をむいたり左をむいたりするような身振りも入れた熱演。
ここで休憩をはさんで次は4年生。
さすがに高学年にはいっただけのことはあり、笛とピアニカ、歌のパートにわかれた合奏はなかなか見事。ピアニカはほとんどが女の子、笛は男の子で、どっちも苦手な子が歌に回ったんだな、という感じの編成なのがかわいい。A-B-A形式の曲を教えて、盛り上がりと締めくくりの差をつけましょう、と教えている感じ。合唱は途中部分が二部合唱に別れていて、うまくハーモニーを出すことに成功していた。舞台上での態度もソワソワしている子が減って、ちゃんとしている子ばっかりになる。
5年生。このあたりからいきなり完成度が上がる感じ。歌は二部合唱で、強弱と緩急をつけて指揮が「ただの飾り」じゃなく、見ながら歌えるようになっている。合奏は笛、ピアニカとマリンバ、グロッケンや、シンバル、タンブリンの打楽器などが入って「器楽」になる。曲もクラシックの編曲版になったり、確かディズニーの曲なんかを演奏している年もあった。息子は5年生の時はピアニカを担当していたが、縦に構えて演奏するし、フレーズが結構細かく早かった。パートを決めるときには「ピアノを習っている人はなるべくピアニカ、アコーディオン、電子ピアノをやってください」と言われたとか。時々、ものすごくピアノがうまい子がリードに入ることがあって、その時は学校のグランドピアノでガンガン弾いている年もあった。
次はなんと、先生の曲が1曲。普段から忙しいのに、こんなものまで…。お疲れ様でございます。J-POPだった。
そして器楽クラブの演奏。4、5、6年生の器楽クラブのメンバーが並ぶ。さすがに難易度が高めで、完成度も高い。がんばっているなあ……。曲はクラシックだった。しかし全員女子!大体男女半々の小学校でこの偏りぶりはすごい。
この「器楽」の編成ってこの小学校の音楽にしかないよね。アコーディオン、グロッケン、マリンバ、それと名前は知らないけれどもすごい低音のでる電子オルガンみたいな楽器と電子ピアノというか、キーボード、笛、ピアニカ、小太鼓大太鼓タンブリンカスタネット、そしてトライアングル。
そして6年生。
6年生は器楽が2曲。卒業生を送る会でも同じ曲を演奏するそうで、運動会の練習がおわったぐらいからずっと練習しているので案外それっぽい仕上がりに。映画の曲と、クラシックの2曲。あんまり詳細を教えてくれなかったので当日まで全くわからなかったが、1曲目はピアニカを縦に構えていて、2曲目は、なんとキーボードを弾いていた。キーボードは数台あるのだが、前の方に設置される。マリンバやグロッケンと並んで目立つパートでいうなれば花形。うちの息子のぞいて全員女子だというのに一人だけ男子。そりゃピアノは習わせてるけどね!大体女子は今息子がやっているようなのを小学校2、3年で通過するそうだからなあ。腕に差がありまくり。最近のピアノ女子は6年生で、ショパンだのベートーベンだのをばりばり弾くお子さんだって多いからね。
大丈夫なのかと思ったが、無事弾けたようだった、よかった。まさかこんなに目立つパートにいるとはねえ…という感じ。
最後は観覧しに来た親御さんも含めて「ふるさと」合唱。これも開会の歌、はじめようコンサートと同じで毎年同じなので歌う。
多分両親と祖父母が見に来ることが多いので知名度が高いということでこれなんだろうね。
ついマジメに歌ってしまう。その場で解散、終了となった。
*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…
こういうのを見ると、アメリカで息子がやった「選択音楽」の授業と、学期末クリスマスコンサートを思い出す。
完成度が全然違うんだよね。美術と音楽、それも器楽を選択する時点でやる気はあるのだろうけれども(楽器は自分でレンタルして家で練習して親がサインする)、なんせ初めてで、音楽系の習い事があんまりポピュラーではないのも手伝って、夏から冬まで練習しても、最後まで止まらず演奏できてよかったねぐらいの出来で、歌も斉唱で元気に歌えたね、とほめるしかないぐらい。
たった1回、1年きりでは、ここまでが限度か……ということがよくわかる演奏だった。
いくら1年に1度とはいえ、難易度を徐々に上げながら毎年合唱や、合奏をやらせることで少しずつ腕が上がるということがよーくわかる小学校の音楽会を見ると、ちょっとでもやらせておくことには意味があると思う。音楽の素養をつけること、クラシックにしろ、オペラや映画音楽にしろちょっとでも耳に覚えのある曲を増やし、他の人の演奏を聞いて楽しむことが出来る下地を作る。そういう意味で公立の学校で全員に少ない授業時間で出来る範囲でとなると、このあたりで最良だと思う。
私が小学校の音楽会を全く覚えていないことを考えると、息子も多分大人になったら忘れてしまうだろう。でも…今は。
本当にみんな、かわいかったなあ。
来年、全く関係のない小学校の音楽会を見に行っても、「はじめようコンサート」を歌ったら、なんだか泣けてしまうかもしれない。