やっすいセーター
このお店は、時々ものすごく安いものを売る。倒産処分品?と思うような同じものがみっちり並んでいることもあれば、サイズが極端に大きかったり小さかったりするものが並んでいる時もある。
値段は200円ぐらいから、500円、7、800円までだろうか。1000円をこえたらいきなり商品がほかのお店にもありそうな感じに「まとも」になるのだが、店の前には目を惹くような安いものが多い。
そんなわけで、ハンガーにずらっと並んだ秋冬物を見たら、399円。ハイネックのセーター、カーディガン、カットソー。別にぱっと見、そんなに奇抜な色でもないけど(たまにすごい紫とか、レモンイエローとか微妙なピンクとかが安くなっていることがある)とよく見てみるとタグに「難あり」と書いてある。
いいな、と思ったグレーのセーターは袖がぱっくり割れている。あー。なるほどぅ。
どこかが破れていたり、ほつれていたり。その場所にカラーのテープが貼ってあって、どこなのかわかるようになっている。結構致命的なのもあったが、袖がぱっくり……は多分、編み物なんだし、普通に綴じればいいや、と思って買った。糸はまだくっついてたしね。
税込み430円。これならまあ、今シーズン着て捨てても惜しくない。帰って着たらちょっと袖が長い。もう全部ほどいちゃえばいいや、ということでハサミでざっくりリブ部分を切ってちょいちょいとほどいて…と思ったらさすが390円(税抜)、機械で平に編んでから綴じはぎがしてあるものらしく、簡単にほどけない。あらら……。ちょっとずつほどきながら棒針で目を拾いなおした。結構時間がかかった。
平で編んであると言っても、往復で編んであるわけじゃないみたいで、糸が切れ切れで続いてほどけない。うーん。なるべく長く糸を取って、1段無理矢理輪にして編んで、しょうがないので手持ちの毛糸でちょちょっとゴム編みを1センチ。こんなもんでよかろう……というわけでこうなった。
ぱっくりあいていた袖の下は、裏側から糸が残っている分は引き抜きはぎにして、ちょっとほどけやすそうだった部分はかがっておいた。あんまり目立たなくなったし、まあいいだろう。
こういうの、貧乏くさいというので実母あたりはいやがりそうだが、編み物の仕組みがわかっていれば出来るのが、なんとなくいい。
他の人は困るかもしれないが、ちゃんと直ったというのがちょっとうれしい。
自分でこんなセーター最初から編む根性ないけど、こういうことをちょっとだけやるのは好きなんだよねえ。
数時間で終わって、成果が残る趣味ってのがいいんだよね。
もうちょっと時間がかかるものも、取り掛からないとなとは思うのだけれど、そこまでの根気がなかなか出ない。
趣味の一環で、午後一回分のお楽しみだと思えば、お茶でも飲みに行ったら終了の金額ではあるので「あり」ってことで。