本物の小花柄
10代のまだかわいかった頃には、「そんな女の子っぽい格好」が、気はずかしくて、好きではなかった。
10歳より前の頃は、親が買ってくるものを着ていたので花柄も着たし、持っているものや、リボンやポシェットなどの小物も花柄があったはずだが、10代の頃は周りの目が気になってそういうものは買わなくなった。
10代後半かな…本物っぽいヒマワリとか、ユリとかがプリントされたお洋服だの傘だのがあったのだが、あれもまたかなり派手なものだったのと、ちょっとうんざりするぐらい大勢の人が持っていたのでああいう花柄も、持たなかった。
でも実は、小花柄がこっそり好きだ。どんな花なのか名前もしらないような…または本当にこんな花あるの?というようなちいさい花が、びっしり描いてある布は内側の布に使ったりとかして、目立たないように楽しんだりして。まだ、そういう服を着る決心がつかないうちに20代を越え、30代を越えて40代の今、あんまりかわいい柄が似合わないような気もしてきている。
なんとなく、30代の母が私たち娘に花柄を着せたがったり、花柄の手提げ袋を持たせたがったりした理由がわかるような気がする。ティーンより前の年齢というのは、かなりかわいらしい柄を着ても、似つかわしくないと言われない年齢ではあるし、実のところそれが似合ってしまう子も結構ある。それに自分が花柄を着るより、ずっと穏当だ。
ユリや、チューリップや、ヒマワリや、グラジオラスや…そのほか名前を知らないような華やかなお花模様はおばちゃんの服にも結構あるのだが、よくよくプリントを見てみると、やっぱり本物の花のほうがずっと美しいな…なんて思いながら、ふと、小花柄の本物って、そういや、見たことないかも…と思ったのが、ごく最近のこと、息子のお弁当チーフを作る時のことだった。
そして外を歩いていて発見したのがトップの写真。
これは小花柄の本物といっていいのではないだろうか。
好みだなあ…と思って写真撮った。写真になった時点で本物のよさというのはすごく減るのだけれども、しっとりと降るお天気雨の光の中に咲いていた小さな花がとてもきれいだった。
咲き終わって枯れてしまった花とかも結構あって、目で本物を見ている時は、どうもそのあたりを無意識のうちにすっとばすらしく、まあ、きれい…と思うのだが、写真に撮ってみたら、枯れた花が写っているのがわかったりして、何度か撮りなおした。
いい写真を撮るのって、むずかしいね。