橋本治さんの思い出
橋本治さんが、亡くなった話をちょっと前に聞いた。
私はもちろん、橋本治さんと個人的な面識はないが、なんとなく「知っている作家さん」みたいな気がしていた。つまり、その人の書いた本を何冊か読んだことがあって、顔と名前と、どんなことをする人かが一致している作家さんだ、と。
大体私は作家の名前なんか見ずに本を読むことが多かった。特に子供の頃は。だから、昔に読んだこんなストーリーの本…とまでは思い出せても、描いた人の名前なんかちぃっとも思い出せず、幻の名作状態になることがあるぐらいだ。
橋本治さんが顔と名前が一致するのは、私が買った本の中に、本人の写真が載っていたからだと思う。
何冊かあったが、私が所持しているこの人の本は、編み物の本。
当時、私は高校生。うちには、編み物の本は何冊かあったが、どれも「編み物が出来る人のための本」だった。編み図と出来上がりの物を身に着けた写真は載っているが、詳しい手順は載っていない。母親は機械編み手編みかぎ針編みにレース編みと、全種目制覇みたいな人で、毛糸は常に押入れにあふれていた。
人よりちょっと不器用だった私は、「誰にでもわかる!初めてのあみもの」なんていう本を読んで挫折したことがあったため、いくらなんでも、男性用ならいけるだろう…と根拠のあんまりない理由でこの本を手に取った。
説明文と写真が、当時の女性用の編み物本とは全然違った。なんと、私はこの本を読んで無事セーターが編めてしまったのである。それも、簡単な「まっすぐ編めるセーター」とかではない。ちゃんと袖ぐりとか、襟ぐりとか、肩下がりとかで減らしたり増やしたり、引き返し編みをする、初心者用ではない本に載っているタイプのセーターが。
目の減らし方、増やし方の「フツーの本には書いてないけど、そういうことになっている」ようなことが、わかりやすい文章で説明されていて、なぜこういう本が他にないのかと疑問に思ってしまうぐらい、わかりやすかった。
(ちなみに、このチャレンジニットシリーズ、アマゾンでは5000円なんて値段がついているが、500円から1500円ぐらいが古本の相場だと思う。特に1冊めは弾数が多いため、買いやすいので、しばらく待った方がい。訃報からこっち、この人の本は上がっている可能性がある)
だから、私にとっては橋本治さんは編み物の本の人であった。
古典の現代ライトノベル系リライトみたいな本もある(結構面白い)のだが、それを見つけたときも、「あ、編み物のあの人の本だ」と思って手にとった。
ものすごい編みこみのセーターを編んでいる人。それが私にとっての橋本治さんだった。
高校生当時は、図書館の本だったチャレンジニットのシリーズはそのあと手に入れて、何冊か家にあって、参考にしている。
きけば、まだ70歳だったそうだ。まだまだ、書けるお年だったのに、惜しい。
編み物の本も、是非復刊してほしいと思う。こんなにわかりやすい本だもの、編み物が家庭科の実習から外れた今、やってみたい人もあると思う。まあ、動画もあるけど…でも、左右でなるべく糸を切らずに肩下がりを編むときの、図と実際の編み方の解説をやっているのはこの本ぐらいだと思うし、どんどん進んでいく動画よりも、図解と写真のほうがいい人もいると思うんだけどなあ…。
4冊のうち、1冊目だけでいいから。靴下の編み方も、すごくわかりやすいし…。
最近は、編み物の本は出していなくて、主義主張とかエッセイとかの本を出していたみたいで、そういう本のことを書いている人は多いみたい。
そういう本も、一応何冊かは読んだけれど、やっぱり私にとっては、編み物の本の人だ。
彼は最近、編み物をしていたのかなあ…。最近の段染め毛糸の流行とかは知っていただろうか。
まだ編み込みの出来ない私は、これからも編みこみのものを見るたび、華やかな桜吹雪のセーターを思い出すだろう。橋本治さんの名前とともに。彼は、1号だか、2号だかの竹の編み針がこすれて細くなって折れるぐらい、編んでいたそうだ。
私もがんばろう。彼の本を読むたび、また編み物熱が上がる。
私はもちろん、橋本治さんと個人的な面識はないが、なんとなく「知っている作家さん」みたいな気がしていた。つまり、その人の書いた本を何冊か読んだことがあって、顔と名前と、どんなことをする人かが一致している作家さんだ、と。
大体私は作家の名前なんか見ずに本を読むことが多かった。特に子供の頃は。だから、昔に読んだこんなストーリーの本…とまでは思い出せても、描いた人の名前なんかちぃっとも思い出せず、幻の名作状態になることがあるぐらいだ。
橋本治さんが顔と名前が一致するのは、私が買った本の中に、本人の写真が載っていたからだと思う。
何冊かあったが、私が所持しているこの人の本は、編み物の本。
当時、私は高校生。うちには、編み物の本は何冊かあったが、どれも「編み物が出来る人のための本」だった。編み図と出来上がりの物を身に着けた写真は載っているが、詳しい手順は載っていない。母親は機械編み手編みかぎ針編みにレース編みと、全種目制覇みたいな人で、毛糸は常に押入れにあふれていた。
人よりちょっと不器用だった私は、「誰にでもわかる!初めてのあみもの」なんていう本を読んで挫折したことがあったため、いくらなんでも、男性用ならいけるだろう…と根拠のあんまりない理由でこの本を手に取った。
説明文と写真が、当時の女性用の編み物本とは全然違った。なんと、私はこの本を読んで無事セーターが編めてしまったのである。それも、簡単な「まっすぐ編めるセーター」とかではない。ちゃんと袖ぐりとか、襟ぐりとか、肩下がりとかで減らしたり増やしたり、引き返し編みをする、初心者用ではない本に載っているタイプのセーターが。
目の減らし方、増やし方の「フツーの本には書いてないけど、そういうことになっている」ようなことが、わかりやすい文章で説明されていて、なぜこういう本が他にないのかと疑問に思ってしまうぐらい、わかりやすかった。
(ちなみに、このチャレンジニットシリーズ、アマゾンでは5000円なんて値段がついているが、500円から1500円ぐらいが古本の相場だと思う。特に1冊めは弾数が多いため、買いやすいので、しばらく待った方がい。訃報からこっち、この人の本は上がっている可能性がある)
だから、私にとっては橋本治さんは編み物の本の人であった。
古典の現代ライトノベル系リライトみたいな本もある(結構面白い)のだが、それを見つけたときも、「あ、編み物のあの人の本だ」と思って手にとった。
ものすごい編みこみのセーターを編んでいる人。それが私にとっての橋本治さんだった。
高校生当時は、図書館の本だったチャレンジニットのシリーズはそのあと手に入れて、何冊か家にあって、参考にしている。
きけば、まだ70歳だったそうだ。まだまだ、書けるお年だったのに、惜しい。
編み物の本も、是非復刊してほしいと思う。こんなにわかりやすい本だもの、編み物が家庭科の実習から外れた今、やってみたい人もあると思う。まあ、動画もあるけど…でも、左右でなるべく糸を切らずに肩下がりを編むときの、図と実際の編み方の解説をやっているのはこの本ぐらいだと思うし、どんどん進んでいく動画よりも、図解と写真のほうがいい人もいると思うんだけどなあ…。
4冊のうち、1冊目だけでいいから。靴下の編み方も、すごくわかりやすいし…。
最近は、編み物の本は出していなくて、主義主張とかエッセイとかの本を出していたみたいで、そういう本のことを書いている人は多いみたい。
そういう本も、一応何冊かは読んだけれど、やっぱり私にとっては、編み物の本の人だ。
彼は最近、編み物をしていたのかなあ…。最近の段染め毛糸の流行とかは知っていただろうか。
まだ編み込みの出来ない私は、これからも編みこみのものを見るたび、華やかな桜吹雪のセーターを思い出すだろう。橋本治さんの名前とともに。彼は、1号だか、2号だかの竹の編み針がこすれて細くなって折れるぐらい、編んでいたそうだ。
私もがんばろう。彼の本を読むたび、また編み物熱が上がる。