巨乳とステレオタイプ
金髪の女性は、馬鹿だと言われるという話を聞かせてくれたのは、アメリカにいたときのお友達、メラニーだ。
彼女は、いろいろな髪の毛の色があるアメリカが、私にとっては珍しいことを聞き、どれが地毛の色で、どれが染めているか見分けがつかないという私の話を聞いて、見分け方を教えてくれた。
目の色と髪の色と皮膚の色はある程度関連性があることや、髪の色はいろいろあるようでも、その時アメリカで流行っていたらしい、あずき色みたいな色の髪は自然にはないこと、髪の色が薄い場合は紫外線で脱色してきて髪の色が均一にならない人があること、それからその時話していたかなり広い大学のカフェテリアでも、たった一人しかいなかった明るいオレンジ色の髪は、「多分本物」で、それが自然な髪の色の赤さの限界だろうことなども。
実はその時、てっきり「赤毛のアン」の赤毛は、赤っぽい色なのだと思っていて、つまりそのあずき色っぽい色がもっと赤っぽくなったのを想像していたのだが、実は赤毛の「赤」はオレンジ色なのだね、ということを初めて目の当たりにした。
そりゃ…アンが「にんじん!」とからかわれたときに怒るわけだ。本当にニンジンの色なんだ…。と初めて、実感がこもったぐらいだ。メラニーの髪は、明るいあずき色だったのだが、つまりこれは染めていて…と説明して、目を閉じてまつげを見せてくれた。
眉毛は引くけれども、まつげは地毛の色だとわかりやすい人も多いのだとか。
それは見事な金色だった。えー。金髪って、いいことになってるんじゃないの?
髪の毛が金髪というだけで女の子はかわいさ倍増扱い、大草原の小さな家のローラも姉の金髪をうらやましがっているし、金髪でカールしていて、目が青い女の子は得だと言われている少女小説は多い。
でもメラニーによると、「ブロンドの女は頭も悪いと思われているのよ」らしい。つまり尻が軽くて身持ちが悪く、頭がよくないと。
ついでに言うと、胸が大きいのもバカと思われるのだそうで、金髪で巨乳となるとそれだけでセクシーでセックスのことばっかり考えているような女と思われるらしい。
ブルネット(黒髪)だと、そんなこと思われなくてもいいのに。それとピンクの服が着られるのよねえ…。と私の黒髪をうらやましがってくれた。子どもの頃、ピンクの服が着たかったのに、赤みがかったブロンド(ケンカの時には赤毛、と罵られるそうだ)にはピンクは絶対だめで、青や緑系の服が多くて、幼児だったころは自分がピンクの服を着た絵ばっかり描いていたという話に、アンがピンクの服にあこがれるというのは、きっと欧米文化圏ではよくわかる話だったんだろうと納得した。
そんな話をふと思い出したのは、久しぶりに会った友達が、当時…というか、多分今も巨乳な人だから。
彼女は当時、ABCDEFGHIJK…みたいなカップのブラをしているという話だった。ワコールのブラの限界がそのあたりで、これ以上大きくなったらどうしよう、という話題があったのを覚えている。
私の方はと言うと、全然で「彼氏に大きくしてもらえ」などと言われたこともあったが、付き合う人が出来たところで急に大きくなったというような魔法もかからなかったし、さらに言うと子どもを産んでも、授乳中でも、それほど大きくはならなかった。まあ、チンパンジーとか、ニホンザルとかが授乳中だけ巨乳になったという話も聞かないから、私にとってはこれが自然だったのだろう。大きくならない人もいるのだ。
これがね…ティーンの後半から、20代前半、私にその友達は言うのだ。
「小さいほうがいいよ、かわいいし!」
「かわいいワンピースがよく似合うよ、私なんか、胸が入らないから、着たくても着られないんだよ?」
…ちぇ。そんなこと言われても、ちーーーーっともうれしくなかった。正直あてこすりにしか聞こえなかった。
まあ、かわいいワンピースなどは時々、意地になって特にそういうブランドのやつを着たけど!!
(Cぐらいまでのカップの人にしか似合わないというか、入らないワンピ―スを売るブランドは確かにあった)
で…25年経って、話をしたときにいろいろな波乱万丈な話を聞くと、うっすらと見えてくる。
彼女は別に、自分がセクシーだと思われたい、というような願望はなかった。ただ、周りが普通にしていても、「ヤれそう」だと思って、そういう風に声をかけたら喜んで付いてくるような女なのだという見られ方をすることが多かったらしい…と。
つまり、じゃあ、飲みにでも行こうか、なんて20代なら初対面でもそういう話はないでもないが、私の場合はじゃあ、またね、駅まで送るよ、とか、タクシーに乗せてもらって帰って終了な話でも、彼女の場合は、ホテルへと連れ込まれそうになってしまって、拒むと、「なんでだよ」と相手が怒りだすようなことがよく起きたらしい。「飲みに誘われてついてきたってことは、お前だってその気があるんだろう」と。
…うーん。そりゃないだろー?と思うが、酔い始めた彼女の話を聞くとそういうことらしい。胸が大きいと自動でセクシーに見えちゃうというのも、全然、いいことじゃないんだなあ、というのは今更だけど、わかった。
多分酔っているからだろう、まこみたいな結婚がしたかった、うらやましい、と何度か繰り返す彼女の話を聞きながら、引く手数多でいろいろな人とそういう噂があった彼女を、もてるというのは、すごいけど、なんだか遠い世界だな、とそういう話から遠ざかるようにしていた私は、恋愛経験値が低いというのも、当時は気後れしたけど、経験値があがるのもいいことばかりではなかったのか…と20年以上も前の感情を蒸し返したのだった。
ステレオイプって、ひどいよね。胸が大きいだけであいつはバカだとか考えている男たちのほうがよっぽど馬鹿よ、と、プラスチックトレイのサンドイッチの前で怒っていたメラニー。
このブログの宣伝に出る胸が大きくなるという薬(多分効き目はない。害もないだろうけど)の広告とか、セクシーなことを前面に押し出す、胸が半分も見えるようなコミックスの宣伝。ああいうコミックスを見て、想像力をたくましくしてから、本物の女性の巨乳を見ると、なんだかへんてこなことになるんだろうなあ…。
そういうことを考える男性は、かなりバカだろうとは思うものの、小学生の息子の思考を見ていると、これが大きくなったら突然変異する感じでもない…と思うと、一定数は…出るよね、そうだよね、そうそう急に賢くなんかならないよね!!少年の心、と言えば聞こえはいいが、つまり…、子供のように単純おバカなところが残ってるということだ。
うちも息子だしなあ。…途中で教えたほうがいいよね、夫に協力してもらって。
胸が小さかろうが、大きかろうが、女性は飲みに来てくれたからと言って、そういうことに合意を示したわけではありません、そういうところへ持ち込もうというときはもっともっと手順が…それも正しいものが必要なのだと。
日本の性教育って、割と抜けているところ多いからね…。そういうコンテンツだけはネットにたくさんあるけど、あんなロケット砲弾みたいな胸の人、人間にはいないから!
「数年のうちに夫に要相談」とか心の片隅にメモしながら、ちょっと自分の反応に笑えた。
私も、すっかり親業が板についたなあ。
彼女との思い出は、とても若いころの物しかないから、それはそれでとても面白かった。自分の中に、まだこんなことを考えるところが残っていたのだ、というのはちょっと驚きの体験だった。
今日は家で洗濯、掃除、調理。いつもの生活だ。彼女ほど家事の腕はないし、料理も上手くない。でも…彼は私を選んで結婚してくれて、毎日働いて稼いでくれている。
こんな話をしたんだ、と打ち明けて、彼に改めて結婚してよかった、と告げた私に、彼は、「そう?」とちょっと嬉しそうだった。
彼女は、いろいろな髪の毛の色があるアメリカが、私にとっては珍しいことを聞き、どれが地毛の色で、どれが染めているか見分けがつかないという私の話を聞いて、見分け方を教えてくれた。
目の色と髪の色と皮膚の色はある程度関連性があることや、髪の色はいろいろあるようでも、その時アメリカで流行っていたらしい、あずき色みたいな色の髪は自然にはないこと、髪の色が薄い場合は紫外線で脱色してきて髪の色が均一にならない人があること、それからその時話していたかなり広い大学のカフェテリアでも、たった一人しかいなかった明るいオレンジ色の髪は、「多分本物」で、それが自然な髪の色の赤さの限界だろうことなども。
実はその時、てっきり「赤毛のアン」の赤毛は、赤っぽい色なのだと思っていて、つまりそのあずき色っぽい色がもっと赤っぽくなったのを想像していたのだが、実は赤毛の「赤」はオレンジ色なのだね、ということを初めて目の当たりにした。
そりゃ…アンが「にんじん!」とからかわれたときに怒るわけだ。本当にニンジンの色なんだ…。と初めて、実感がこもったぐらいだ。メラニーの髪は、明るいあずき色だったのだが、つまりこれは染めていて…と説明して、目を閉じてまつげを見せてくれた。
眉毛は引くけれども、まつげは地毛の色だとわかりやすい人も多いのだとか。
それは見事な金色だった。えー。金髪って、いいことになってるんじゃないの?
髪の毛が金髪というだけで女の子はかわいさ倍増扱い、大草原の小さな家のローラも姉の金髪をうらやましがっているし、金髪でカールしていて、目が青い女の子は得だと言われている少女小説は多い。
でもメラニーによると、「ブロンドの女は頭も悪いと思われているのよ」らしい。つまり尻が軽くて身持ちが悪く、頭がよくないと。
ついでに言うと、胸が大きいのもバカと思われるのだそうで、金髪で巨乳となるとそれだけでセクシーでセックスのことばっかり考えているような女と思われるらしい。
ブルネット(黒髪)だと、そんなこと思われなくてもいいのに。それとピンクの服が着られるのよねえ…。と私の黒髪をうらやましがってくれた。子どもの頃、ピンクの服が着たかったのに、赤みがかったブロンド(ケンカの時には赤毛、と罵られるそうだ)にはピンクは絶対だめで、青や緑系の服が多くて、幼児だったころは自分がピンクの服を着た絵ばっかり描いていたという話に、アンがピンクの服にあこがれるというのは、きっと欧米文化圏ではよくわかる話だったんだろうと納得した。
そんな話をふと思い出したのは、久しぶりに会った友達が、当時…というか、多分今も巨乳な人だから。
彼女は当時、ABCDEFGHIJK…みたいなカップのブラをしているという話だった。ワコールのブラの限界がそのあたりで、これ以上大きくなったらどうしよう、という話題があったのを覚えている。
私の方はと言うと、全然で「彼氏に大きくしてもらえ」などと言われたこともあったが、付き合う人が出来たところで急に大きくなったというような魔法もかからなかったし、さらに言うと子どもを産んでも、授乳中でも、それほど大きくはならなかった。まあ、チンパンジーとか、ニホンザルとかが授乳中だけ巨乳になったという話も聞かないから、私にとってはこれが自然だったのだろう。大きくならない人もいるのだ。
これがね…ティーンの後半から、20代前半、私にその友達は言うのだ。
「小さいほうがいいよ、かわいいし!」
「かわいいワンピースがよく似合うよ、私なんか、胸が入らないから、着たくても着られないんだよ?」
…ちぇ。そんなこと言われても、ちーーーーっともうれしくなかった。正直あてこすりにしか聞こえなかった。
まあ、かわいいワンピースなどは時々、意地になって特にそういうブランドのやつを着たけど!!
(Cぐらいまでのカップの人にしか似合わないというか、入らないワンピ―スを売るブランドは確かにあった)
で…25年経って、話をしたときにいろいろな波乱万丈な話を聞くと、うっすらと見えてくる。
彼女は別に、自分がセクシーだと思われたい、というような願望はなかった。ただ、周りが普通にしていても、「ヤれそう」だと思って、そういう風に声をかけたら喜んで付いてくるような女なのだという見られ方をすることが多かったらしい…と。
つまり、じゃあ、飲みにでも行こうか、なんて20代なら初対面でもそういう話はないでもないが、私の場合はじゃあ、またね、駅まで送るよ、とか、タクシーに乗せてもらって帰って終了な話でも、彼女の場合は、ホテルへと連れ込まれそうになってしまって、拒むと、「なんでだよ」と相手が怒りだすようなことがよく起きたらしい。「飲みに誘われてついてきたってことは、お前だってその気があるんだろう」と。
…うーん。そりゃないだろー?と思うが、酔い始めた彼女の話を聞くとそういうことらしい。胸が大きいと自動でセクシーに見えちゃうというのも、全然、いいことじゃないんだなあ、というのは今更だけど、わかった。
多分酔っているからだろう、まこみたいな結婚がしたかった、うらやましい、と何度か繰り返す彼女の話を聞きながら、引く手数多でいろいろな人とそういう噂があった彼女を、もてるというのは、すごいけど、なんだか遠い世界だな、とそういう話から遠ざかるようにしていた私は、恋愛経験値が低いというのも、当時は気後れしたけど、経験値があがるのもいいことばかりではなかったのか…と20年以上も前の感情を蒸し返したのだった。
ステレオイプって、ひどいよね。胸が大きいだけであいつはバカだとか考えている男たちのほうがよっぽど馬鹿よ、と、プラスチックトレイのサンドイッチの前で怒っていたメラニー。
このブログの宣伝に出る胸が大きくなるという薬(多分効き目はない。害もないだろうけど)の広告とか、セクシーなことを前面に押し出す、胸が半分も見えるようなコミックスの宣伝。ああいうコミックスを見て、想像力をたくましくしてから、本物の女性の巨乳を見ると、なんだかへんてこなことになるんだろうなあ…。
そういうことを考える男性は、かなりバカだろうとは思うものの、小学生の息子の思考を見ていると、これが大きくなったら突然変異する感じでもない…と思うと、一定数は…出るよね、そうだよね、そうそう急に賢くなんかならないよね!!少年の心、と言えば聞こえはいいが、つまり…、子供のように単純おバカなところが残ってるということだ。
うちも息子だしなあ。…途中で教えたほうがいいよね、夫に協力してもらって。
胸が小さかろうが、大きかろうが、女性は飲みに来てくれたからと言って、そういうことに合意を示したわけではありません、そういうところへ持ち込もうというときはもっともっと手順が…それも正しいものが必要なのだと。
日本の性教育って、割と抜けているところ多いからね…。そういうコンテンツだけはネットにたくさんあるけど、あんなロケット砲弾みたいな胸の人、人間にはいないから!
「数年のうちに夫に要相談」とか心の片隅にメモしながら、ちょっと自分の反応に笑えた。
私も、すっかり親業が板についたなあ。
彼女との思い出は、とても若いころの物しかないから、それはそれでとても面白かった。自分の中に、まだこんなことを考えるところが残っていたのだ、というのはちょっと驚きの体験だった。
今日は家で洗濯、掃除、調理。いつもの生活だ。彼女ほど家事の腕はないし、料理も上手くない。でも…彼は私を選んで結婚してくれて、毎日働いて稼いでくれている。
こんな話をしたんだ、と打ち明けて、彼に改めて結婚してよかった、と告げた私に、彼は、「そう?」とちょっと嬉しそうだった。