おいしいビスケット
マイクロビオティックという言葉は、多分十数年は前から、聞いたことがあった。英語の発音だとこれは「マイクロバイオティック」みたいなので、日本風にカナにするのなら、ミクロビオティック、となるべきなんじゃ、と思うのだけど、なぜか「マイクロ」のほうはしっかり英語読みで、なぜかbioticの方はローマ字読みで「ビオティック」なのが謎だ。
これの略語は「マクロビ」らしい。うーん…いかにも日本風の四字略語になるとしたら、「マイビオ」となるはずなのにどうしてそうなったのかはわからない。
大体、マイクロ=microは、とても小さいという意味がある。日本語では最初は、「ミクロ」という読み方で入ってきていて、「ミクロの決死圏」なんていう映画の題名になっていたり、「ミクロマン」というテレビのシリーズがあったり…。
で、マクロ=macroの方は、大きい、という意味を付与するので、全く逆の意味になるのに、この単語、英語で書くとしたらmicro-bioticだと思うんだけどこれが訳した時「マクロビ」ってことはmacro-biotic、みたいになるのはなぜだ!もやもやする。
まあ、それは日本でこの話をするときには通じるのだからいいとしておいて。
大体、私はこのマクロビというのが嫌いだった。
最初見たときはそういうレストランが近隣に出来た時だった。
シンプルを気取った、白い壁に木目そのままみたいなインテリアのレストランで、小さい器に、ひとくちぶん…?みたいな量が出される、ベジタリアン間違いなしとしか言いようがない料理で、妙に味が薄い、粒食みたいなのが多くて、キヌアだとか、そばの実だとか、ボリュームがなく、小鳥の餌か、米と小麦のアレルギーがあったらこういう感じか…という感想が頭に浮かぶほど。
なおかつ、ランチだけで1500円で済めばマシ、2000円越えなんていうのを食べた時だ。
けっ。何が自然派、マイクロビオティックだ。と思ったものだ。
イギリスの村の生活を書いた本を読むと、やたらとビスケットとお茶が出てくる。朝ごはんに食べている人もいれば、夜寝る前にココアと…という人もいるし、お茶の時間に食べる人もいる。そのビスケットが、おいしそうなんだな…。
調べると、乾燥フルーツが入ったビスケットとか、いろいろな穀物が入った二度焼きだったりとか…。
果物入りのビスケットということは、東ハトのオールレーズンみたいなやつかなあ…などと思っていたのだけれど、今日スーパーで衝動買いしたこれ、

アーモンド、カボチャの種、ヒマワリの種、オーツ麦、玄米フレーク、それからクランベリーが入っているそうだ。
マクロビはどうでもいいけど、このビスケット、それほど甘くなく、上品な味で、かみしめるとなんともいい味だ。
旅行…じゃないな。「旅」だ。旅の携行食に出そうな味だ。物語で主人公が旅に出るときに、持っていく。
いろいろなものが入っていて、ひとくち食べると木の実の味。もうひとくち食べると果物の味がしました。
…と書いてあるようなビスケットだ。森の中で小さな焚火をして、お茶を沸かして、金属のカップでお茶を飲み、このビスケットを惜しみながら一つかみしめた主人公は元気が出て、口笛なんか吹きながら遠くへまた歩いていく。そんなビスケット。
いい味だった。もう一袋買おう。朝ごはんに食べるといい感じ。
ただ、シリアルバーにありがちな、べとべとした感じはしない。さっくりしたミニバーといった風情で、歯ざわりもいい。
クランベリーだけじゃなくて、リンゴとかブルーベリーとかもあったらいいかなあ。
ココアの方は実は全然試してないけど、なんとなく味が想像できるので、こっちだけでいいかなー。ココアがたくさん入っていると素材の味がしなくなりそうかも。いや、でも一度は試すべきか。
どっちにしろ、なくならないうちに飽きるまで食べたい味だった。