手芸部の集い
大抵誰かの家に集まっていたのだが、今回はうちのマンションのキッズルームを使った。
キッズルームと言っても、マンションの総会の時はそこで会議をしたり、商談をしている人も見たことがあるので、別に子供じゃなくても使える。
ソファとテーブル、ラグと、子供用のおもちゃと、鉢植えぐらいしかない上に、毎日掃除されているから、自分のうちでやるよりずっときれいで、私があせって片づける必要もない。
マンションの入り口横にあるので、通る人から見えることをのぞけば、気楽なものだ。
「各自お昼ごはんと、飲み物と、手芸で途中になっているものを持参ねー」
…というお誘い文句だったので、私が用意するものはあんまりない。
ここでピクニックバスケット…などを用意出来ればかっこいいのだが、うちにはそんなおしゃれなものはない。
空になった洗濯かごのなかに、大判のひざかけ、サーモスに入った紅茶、紙コップ、小型のスピーカー、iPhone、充電池と、私の昼ご飯のおにぎりと、ペットボトルのお茶、テーブルを拭く台拭きと、ごみ入れに使う、ビニール袋をセットした紙袋などを詰めて出発だ。
今回持って行ったスピーカーは【サウンドコア2】。これは、幅16センチぐらいだと思うのだけれども、結構広いキッズルーム(学校のクラスの教室より広い)にきれいに音が響いた。
私のiPhoneからブルートゥースで音を飛ばすので、キッズルームの飾り棚においておいたらばっちりだった。
ソファに大判のチェックのひざかけをかけると、なんとなく家庭的な雰囲気が。
うんうん、音楽と、ソファと、お茶だよね…。
というわけで、全員の到着を待った。
今回キッズルーム案を思いついたのは、今回のメンバー4人のうち3人は子供が小学生以上なのだが、一人だけ、まだ一番下のお子さんが2才だから。
2歳のお子さんはあんまり目を離せないが、同じ部屋の中で遊んでくれたら、親は楽しくおしゃべりが出来そうだ、ということで。子供が遊べるおもちゃはあるし、十分広いし、小型とはいえ、男の子がよろこびそうなロッキングホースや、乗用玩具もある。
小さい子どもは、たいてい「初めてのおもちゃ」となると、どんなにつまらないおもちゃでも何分かは夢中になってくれるからね…。そのすきにお母さんはちょっと編み物とか、縫物が出来る、というわけだ。
ひとりひとり、メンバー到着。2歳の男の子は目を輝かせて乗用玩具に突進。かわいい。
部屋の半分で乗り回している子をちらちら見ながらおしゃべりをする。
紙コップのお茶をとりあえず全員にすすめて、持ってきてくれたお菓子をつまみながら休憩。
「とりあえずお茶でも…」とのんびりする。
2歳のお子さんのママは、「なかなかゆっくりできなくて…これはいいわー。久しぶりにくつろいだ感じがする」と喜んでくれた。
子育て支援施設は混むからね…。今は子供は一人しかこの部屋にいないから、気を使わないでいられるし、ボクちゃんはおもちゃを箱から次々出して楽しそうだ。
ブルートゥースのスピーカーは、これはマンションの備品?と聞かれたぐらい、ちょうどいい感じだったらしい。
実は、入居時にはこの部屋に音楽が流してあったのだが、「お金がかかる」ということでその機能は廃止になったんだよ、という話と、このスピーカーは私が持ってきたのだ、という話をしたら、こんなの初めて見た…という人がいて、ブルートゥースの説明をすることに。まあ、大きさの割には、広い場所で鳴らすのにいいスピーカーだと思う。
部屋の雰囲気をよくする作戦、成功? ちなみに曲はジャズだった。どこかの喫茶店でかかっていそうな選曲だったから、余計備品っぽさが出たのかもしれない。
おしゃべりをしながら編み物。「去年からそのままよ、いつ編みあがるんだろう」なんて笑う人もいれば、「もうやり方忘れた、まこさん、教えてこれ」という、100均のマフラー編み器持ってくる人あり。
トイレはマンションの共用トイレ(管理人さん用でもある)。
食べ物飲み物は持参したものばっかりで、唯一出したのは紙コップに注ぎ分けた紅茶だけで一杯で飲み切りだ。
出すほうも、出してもらうほうも、気を使わないで楽なパターンだと思う。
お昼をはさんで、またおしゃべりして、最後に全員でおもちゃを箱に片づけて、乗用玩具を並べ直し、ごみは集めて、テーブルを台拭きで拭いて、「またねーー」と終了。
お子さんは眠そうだったが、退屈して駄々をこねるところまでは行かなかったし、全員たくさんおしゃべりしてストレス解消、編み物もちょっと進んだ。
自分の家のある階までエレベーターに乗るだけで帰宅出来るし、楽々!
またやろうね、と約束した。
こっちから頑張って企画しないと、誰かに誘ってもらうのを待っていると何にも来ないしね…(それもなんていうか、さびしいけど)これからも時々やろう。
マンションに住むと、こういう施設があるのもいいよね。…と思ってから思いついたんだけど、昔田舎に住んでいる時、お金持ちの家には、「応接室」というのがあった気がする。
なるほど、応接室というのは、お客さんが来た時に、見てもいいもの、さわってもいいものだけがある部屋だとすると…つまりこういう目的のために使ったんだろうからなあ。
うちはせまかったので、「応接間」も「客間」もなかったけれども、もし家が広ければこういう「片づけなくても人が通せる、小さい子が入っても触って困るようなものがない部屋」なども作っておけるのかもしれない。
うちのマンションのこのキッズルームはじゃあ、「レンタル応接間」ってことで。