記憶に残る「神の1本」ゲーム
息子やその友達の会話を見るに、「なんとかは、神!」というのは、そのなんとかが「すばらしい」ということを指すらしい。
…というわけでつまり「神ゲー」ということは、絶対素晴らしいと思う1本ということでいいんだろうと思ってみたものの、大体素晴らしいゲームなんてものは、ある程度の幅こそあれ、人気シリーズが多い。素晴らしいゲームは評価人気共に高いのだ。
つまり、マリオ、ゼルダ、ポケモン、ドラクエ、ファイナルファンタジー…とかまあ、ゲームをやったことがあれば大体ねえ…というあたり。そんな記事はウェブにはとてもありふれている。プレイをした感想、レビュー、攻略…。
私はドラクエの1から6ぐらいまで、ファイナルファンタジーの4、5、6あたり、ポケモン全般、ドラクエの派生シリーズのトルネコ、ファイナルファンタジー派生のチョコボ系が好きだ。でも、時間を取ったゲームというと、実は全然違うんだな…。
私は、ゲームを始めたときは一人暮らしだった。大して大きい会社でもなく、男女の給料格差は割とありがちだったころの20歳の就職では、正直給料は安かった。一人暮らしをし、貯金をし、友達と旅行に行こうと思うとまあ、ゲーム資金などというのはどうしても後回し。そんなわけで、私が遊ぶゲームは本数こそ多いものの、叩き売られているソフトが多かった。
あんまりおもしろくなくても、他にソフトがないのだから必死で最後までたどり着くわけで、いや…。まあ…なんていうかさあ…。私よくぞ最後までいったよね?というものもかなりある。途中で投げ出したものもあるが、暇つぶしに最後まで無理やりプレイした1本が、これ。(画像は【ゲームカタログwiki】のもの。
この「スペクトラルタワー2」は、塔を1万階まで登るというのが目的のソフト。
人気ゲーム、ドラゴンクエストや、ファイナルファンタジーの派生ゲームとして「トルネコの大冒険」とか、「チョコボの不思議なダンジョン」といったような、ダンジョンを何階層も攻略することを目的としたゲームが流行ったころで、多分似たような解き心地なのではないだろうか、と思った割には、確かこれは中古で格安200円だか、150円だったか…。
このゲームは、「ルーツ」=職業があって、その職業により、キャラクターの特性が変化する。「アイテムハンター」なら、宝箱が見つかりやすくなり、「エルフナイト」なら魔法と攻撃が強くなる、といったような感じ。ルーツは8ケタの番号を入力すると変化…するんだけど、これが全然わからない。時々はゲーム内で紹介されるのだけれど、ほとんど謎のまま終わってしまう。
技はどの職業でも3つ覚える。覚えた技は系統別に違う職業になっても使えるので、最初はいろいろな職業を経験して、技を集めるのが王道…なんだろうなあ…と思って始めたけれども、回復技と、攻撃技…はまあ、名前は違うけれどそれほど使い勝手が違うわけでもなく。
おなかが減るので、適当なものを口に入れると(剣とか、マントとかでも)いろいろなコメントが出るのが面白いのは評価出来る。
こんなもの、食べられるの?というものも「もぐもぐ…」と食べた後、コメントを見るのがしばらく楽しみだった。アイテム数だけは多い。
ルーツは139種類。最初は「クレリック」「ファイター」「シーフ」とかなんとなくファンタジーの剣と魔法の世界にありそうな職業なのに、最後のほうは「カエル男爵」とか「猫」「サボテン」「かわいい野生児」「お笑い芸人」みたいな、なぜ?みたいな職業もあって、経験したルーツは「カード」になってコレクション出来るので、しばらくはルーツ番号を探すだけで数日遊んだ。自分の家の電話番号とか、友達の番号とか…結局半分ぐらいで力尽きて攻略本を買った。
このゲームの攻略は、というと、塔を上りながらモンスターを倒し、「ここまでだなあ」と思ったら、「スカラベ」というアイテムを使って街に戻る。街に戻ると、「スカラベ」が変化したアイテム「ベラカス」を持っているので、体調を整え直したり、ルーツを替えたりしてから、ベラカスを使うと、さっきまでいた階層まで戻るので、また、冒険を続けられる。
何のことはない、トルネコやチョコボのダンジョンが、一度ダンジョンから脱出すると一階からやり直しになるのに、このゲームは途中階からOKなので、一万階といってもルーツによってはかなり簡単。
一番簡単なのは「グルメ」という職業になって、(ルーツ番号26-1351)、3つ目の技「大食尽」を覚えること。
この技は、モンスターを食べて倒すという技で、自分のHPが回復する。つまり、その技でモンスターを倒し続けると、HPが戦闘終了時には、元通りになっているので、まず、死なない。
ダメージをなるべく受けづらい職業にして、次の階への扉が見つかりやすい職業とか、アイテムが出やすい職業とか、駆け足が早くなる職業について、大食尽を使いながら進めば、あとは時間をかけるだけでそのうち、1万階にたどり着けるという…。
この1本がなぜ、神の1本なのかというと、話に聞いただけだと、とても大変なことをやり遂げたように聞こえるところ。
息子の友達との会話でいうと、「お前、神だな」になるってこと。
実はフタを開ければ全然すごくないんだけど…。チョコボのダンジョンで200階にたどり着くほうが、このゲームで10000階にたどり着くよりずっと難しい。
初代プレイステーションと、確かこれ、PSPのダウンロード版もあったはずだ。
確かに、クソゲー扱いだけれども、遊びつくすとこのバカらしさといい、妙に凝ったセリフといい、なんとも、味があるんだな…。
このゲームを1万階まで遊びきった人と知り合ったことは一度もないんだけど…でも、もしいたら語り合いたい、そんな1本。