LuckyDuckyDiary

捨てられないもの

自分の部屋の「開かずのクローゼット」を開けた。
 バッグ…。ここ3年ぐらい、出してもいない、一度も使ってないバッグを捨てることにした。
 冠婚葬祭用のバッグと、革の、黒いハンドバッグだけ、とっておいて、後は全捨て。
 ごちゃごちゃしたものがいっぱい突っ込んであったが、本当に何年もそのままになっているものだったので、分別して捨てる。

 1つだけ…電話機が残っている。私が一人暮らしをしていた時のもので、私が結婚して渡米するまで使っていた。

 アメリカで数年過ごしている間に、友達とは全体的にかなり疎遠になった。私がまめに連絡しなかったのも悪かったのだけれど、当時、まだ電子メールを持っている人はかなりの少数派で、ほとんどの連絡は「手紙」だった。国際電話はとても高く、とてもじゃないが用事もないのにかけるようなものではなかったのだ。

 何年もたって、SNSで、また、古い友達とつながり始めたころ、「○○は、誰か、連絡ある?あるなら、連絡取りたいなあ」と書き込んでいた私に、「まこが、アメリカに行ってから多分3年ぐらいたった時、なくなりました、というハガキをもらったよ」と教えてくれた人がいた。ひとりだけ、遠くの町にいて、仲間内とつながりのない人と結婚していて、お葬式も近親者だけで行われて連絡もなく、ただ、年賀状の交換のあった人にあとではがきで連絡だけがあったということだった。

 その話を聞いて、うわ…さびしいなあ…と思った。
 そして…そのあと、電話を新しく引いたとき、「この電話機、まだ使えるかな…」と引っ張り出して…。

 「これでさいごじゃとおもうけ、電話してみたんじゃけど、でんのう。体に気ぃつけて、元気で、いってこいや、ほんじゃあ、またの」というメッセージが残っていた。

 友達の声だった。私がアメリカに行っている間に…。なくなってしまった友達。
 宅配便のトラックを運転していて、交通事故だったらしい。子供も、まだうんと小さくて、2歳だか、3歳だかだったと聞いた。

 最後に会ったときは、私は今度、結婚してアメリカへ行くんだ…という話をしたとき。かなり遠くに住む夫の親族…その本家に挨拶に行った時で、彼が住んでいたのは、その町のそばだったから、顔を見に来てくれたのだった。

彼も、趣味で出会った人と結婚が決まったというので、それはいいね、お互い頑張らないとね、という話をしたのだったっけ。

 私がいつからアメリカに行くというのは知っていたから、きっと最後に電話をくれたのだろう。

 結婚、おめでとう、と確かに言った覚えがある。
 お子さん、生まれたんだね、おめでとう、は言わなかった。

 歌が上手かった。車の運転と、楽器も上手かった。
 故郷のなまりが抜けなくて、時々話がわからなくなったりしたが、それでも話が面白くて…。

 なんとなく、そのメッセージを、もう一度聞きたいような…聞かない方がいいような。。

 多分…捨てても、友達は気にしない。「そんなもん、とっとかんでえーわ」…と絶対言いそうだ。言いそうなんだけど。

古い、黒い電話機はまだ、私のクローゼットに残っている。耳の底に沈んだメッセージとともに。
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    まこ

    Author:まこ
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